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マンゴー

執筆者:

写真:垂見健吾

沖縄では、夏を代表する果物。マンゴーは、ウルシ科の常緑高木だが、国産のものはビニールハウスの中で、枝の剪定、摘心、誘引など、さまざまな作業をくり返し、太陽の光がまんべんなくあたるような樹型に工夫されている。葉の枚数の確保と枝と枝の空間のとり方、病気や病害虫の対策、肥料や水分の調整など、1年中の作業と管理で沖縄のマンゴーは大切に大切に育てられる。品質と味は、輸入物のそれとは到底比較にならない。においたつ香りとジューシーでとろけるような舌ざわりの果肉、甘さと酸味の絶妙のバランス。一度食べると忘れられない味になること受け合いだ。

写真:砂川智子

現在沖縄では、アーウィン種・キーツ種・センセーション種・ヘーデン種・台農種などたくさんの種類のマンゴーが栽培されているが、最もポピュラーなのが「アーウィン」と呼ばれる赤いマンゴーだ。アーウィンは、とてもデリケートな果実。同じ沖縄のアーウィンでも、沖縄各地の土壌の性質の違いや肥料の違い、気温やかん水量の違いなど、さまざまな要因によって果肉の舌ざわりや、酸味、甘さ、香り、皮の赤の色あいまでが違ってくる奥の深い果実なのである。アーウィンには「ミニマンゴー」とも呼ばれるピンポン玉くらいの不稔果も売られていることがあるが、これも美味。濃厚な味がむせかえる南の島々を連想させてくれる。

沖縄の島々にもそれぞれ個性があるように、アーウィンもそれぞれの島、それぞれの農園のとびきりの自信作を取りよせて、色彩と香り、舌ざわりなんかを楽しんでみるのも面白い。