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リュウキュウムラサキ

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沖縄本島から先島さきしまにかけては蝶が多い。最初に蝶のあまりの多さに驚いたのは、宮古島の北にある池間いけま島だった。オレンジ色に黒い模様のある派手な蝶が無数に一本の木にむらがっている。まるでその木は蝶の花で満開のよう。それがスジグロカバマダラだった。近縁種で白地に黒い模様のオオゴマダラも美しい。もっとも、この蝶については新聞紙をちぎって風に放ったようだという悪口もある。琉球新報が一番似ているとか。これが日本で最も大型の蝶だが、最小の蝶であるリュウキュウウラボシシジミも沖縄の産。

沖縄では蝶はハーベールーと呼ばれ、昔から霊的な存在とされてきた。ノロの使う祭具などにも蝶をかたどったものが多い。

西表いりおもて島は珍しい蝶が多いので、全国からマニアが採集に来る。ここで最も珍品とされているのがリュウキュウムラサキ。黒地に白からルリ色へぼかしになった斑のあるきれいな蝶だ。名前には琉球とついているが、本当は台湾やフィリピンの蝶で、それがたまたま渡ってくるらしい(迷蝶という)。

島の中をぶらぶら歩いている時、たまたまこの蝶を見つけた。蝶の写真はむずかしいが、この時はいい子にしてじっととまっていてくれたので、ずいぶん近くで撮れた。民宿に帰って報告すると、たまたまその場にいたコレクターの人に、なんで捕まえてこなかったのだと叱られた。見られただけでも果報なのに。