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ビーチ

執筆者:

写真:垂見健吾

復帰直後、初めて沖縄を訪れた時、ビーチという言葉は何か不思議な響きを持っていた。
 訳せば海岸、浜辺となるが、逆に海岸や浜辺が即ビーチかというと少し違う。今や沖縄のビーチ(観光ビーチ)といえば、観光ポスターの派手派手しく結構なまぐさいイメージが先行。そんな中で沖縄特有なのが有料プライベートビーチ。観光客が行くのはほとんどこれ。

それに対して、1990年の秋の沖縄県議会で「海浜自由使用条例」が可決され、ホテル等の私的専有ができないことになった。ただし、どのように適用されていくかはっきりしたメドはないとのこと。

プライベートビーチの特殊な形として、米軍専用のものがある。
 また、沖縄の夏の風物詩、ビーチパーティー(ビーチパーリー)のメイン会場でもある。バーベキューと冷えたビールを中心に夕刻から始まり、明け方まで野外で楽しむパーティー。この飲・食・遊に傾ける情熱と精力はまるでラテン民族。労働省の調査(平成元年)に、男性の月間総実労働時間は沖縄が全国一とある。あれだけ遊んで、いつそんなに働いているのだろう。知らぬ間に働いているのもラテン的。

水平線を見はるかす海辺の拝所で、海の彼方に祈っているおばぁいわく「ニライカナイっていう竜宮があって、だからよぉ」。
 いろいろなものが行き来し、あらゆるものを受け入れてくれる何でもありの空間、そんな浜辺をビーチとしておこう。