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しまバナナ

執筆者:

写真:垂見健吾

バナナなら誰でも知っている。フィリピンや中南米から輸入され、ブランド名のシールを貼って売られる太い、皮の厚い、身の白っぽい、味の薄い、匂いのない、果物。日本が貧しかったころは宝物だったが、最近ではあまり人気がない。
 しかし沖縄には別のバナナがある。沖縄では地元の産物にはみな「島」を付けて区別するから(「島豆腐」とか、「島ゾーリ」とか「島酒」とか)、これも島バナナと呼ばれる。長さは15センチぐらいと短く、それに合わせて細い。皮は色が濃くて薄い。身も色が濃く、食べた感じはもちもちして、酸味と甘味が強く、香りがあって、要するにおいしい。これがバナナかと思うぐらいおいしい。生産量が少ないので値段は高め。スーパーなどでない時は那覇ならば牧志まきし公設市場の周辺で探すと見つかることが多い。

熟れごろを見計らって食べるのがこつで、だからまだまだというのを買ってきて、吊るしておく。皮に縦に裂け目が入るころになるとおいしく食べられる(子供が吊るしたバナナを見ながらあと2日、あと1日と楽しみに待って、いよいよ今日だと勇んで下校してみたら、お父さんがみんな食べてしまっていたとか)。

こんなにおいしいのだからたくさん作って内地にも売ればいいと思うのだが、この小笠原種というのは台風や病虫害に弱くてなかなか産業化できないのだそうだ。誰かが再度挑戦して成功すれば、マンゴー並みのヒット商品になるのだが。