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イマイユ

執筆者:

写真:垂見健吾

イマイユとは、今の魚(イユ)で、旬の魚や近海漁で獲れる魚のことをいう。
 四方を海に囲まれている沖縄とはいえ、魚料理の楽しみ方となると案外数少ない。もっぱら刺身か揚げ物で、焼き魚や干物はめったにお目にかからない。冷蔵庫のなかった昔は、とれたての魚は生で食べ、それ以外は暑くていたみやすいのでとりあえずしっかり火に通すという揚げ物やまーすなどの調理法が主である。魚屋ではイマイユのほとんどを刺身として販売するのだ。
 そのため、沖縄では一般に魚屋のことを「さしみ屋」と呼ぶ。最近ではあまり見かけなくなってきたが、80年代頃まで「さしみ屋」は単にさしみや魚を店先で売るだけでなく、奥の座敷やとなりの店で「さしみ」や「魚天ぷら」などと一緒に酒を提供する、今の居酒屋みたいな役目をもっていた(僕の知っている限り、まだ数軒は営業している)。
 若い頃の模合は、よく「さしみ屋」でやった。安く、新鮮なイマイユが酢みそで和えられ山盛りで皿にのってくる。そしておいしい泡盛を楽しむ。幸福のひとときでした。