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きっぱん

執筆者:

写真:垂見健吾

カーブチーやクニブなど沖縄特産の柑橘類から作られるお菓子で、食べた人はみな、こんなに上品なゆかしい味のお菓子が沖縄にあったのかと驚く。漢字では橘餅ないし桔餅と書き、沖縄語の音韻変化に従って「ちっぱん」と呼ばれることもある。

もともとは中国のもので、福州あたりから首里王府に伝えられたらしい。本来はずいぶん高価なお菓子で、長者の家ではこれを正月などに積み上げて富を誇ったという。琉球でも高貴な人しか知らないものであったわけだが、今は誰でも買える。最近は内地からお茶会用にも注文があるという。

直径4センチほどの円形で外側に白い糖衣がついている。普通は6つぐらいに切って食べる。粉などをまったく使っていないのに餡のような歯ごたえがあるのは、柑橘の中の白い小袋がつなぎの役を果たすからだとか。

実は今このお菓子を作っている店は1軒しかない。チンスコウなどに比べるとあまり知られないお菓子だが、みんなで食べてこの味を長らく伝えていこう。食べたい人は那覇にある「謝花じゃはなきっぱん店」(電話098-867-3687)へ。