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ゴーヤー

執筆者:

写真:垂見健吾

沖縄を代表する野菜を一つだけあげるとすると、やはりゴーヤーという気がする。イボイボが一面に突出している、野性的な姿。あの深く濃い緑色。この緑色のせいで、ゴーヤーを見るたびに、これぞまさしく太陽の子、と思ってしまう。近頃はハウス栽培のせいか知らん、肌が妙に白っぽいゴーヤーを見かけるが、これはもしかするとゴーヤーのヤマト化現象ではないだろうか。ダンコ排したい。

縦に割ると、タネとわたの部分がわりと大きい。それをこそげ落として、半円状に薄く輪切りにし、豆腐と一緒にチャンプルーにする。苦瓜にがうりという和名の通り、とにかく苦い。苦味をへらしたいときは、とき卵をかけまわして仕上げる。

もうひとつゴーヤーをサラダのようにして食べる食べ方があって、これはすばらしい。できるだけ薄くスライスし、塩水で洗ったあと、氷水で冷やす。よく冷えたゴーヤーに削りブシを大量に盛る。醤油(と好みにしたがってサラダ油)をたらして食べる。すっきりした苦味とシャキッとした歯ざわり、最高の夏のサラダだ。

ゴーヤーはもともと夏の強烈な日射しをさけるため、窓辺に棚を組んで這わせておいた植物だった。それがいつのまにか、野菜が少なくなる真夏になくてはならぬ夏野菜になったという。野性の面影を宿しているわけだ。