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オリオンビール

執筆者:

写真:嘉納辰彦

沖縄県産のビール。一県一工場で、日本の地ビールの元祖。なぜか沖縄ではこれが飲みたくなる。地元では、工場が名護なごにあることから名護の水小なぐぬみじぐゎー(ナゴのお水)と親しみを込めて呼ばれていると聞いてから、すっかりオリオンファンになった。そんな愛称を、最近知らない若者も増えているという。
 最初に口にした時は、どこか物足りない感じもしたが、飲んでいるうちに馴染み、愛飲家に。本土4社が進出する中で最盛期には県内シェア8割、現在でも5割ほどを維持しているのは立派。それも、地元と密着しているからか。同社は県内の各種イベントに積極的に関与。毎年7月にコザで行なわれるオリオンビアフェスト1は、いまや沖縄の夏の風物詩となった。全県人口120万の4分の1に当たる30万人が2日間に押し寄せるという。民謡ロック、芝居、コントなどのステージが設けられ、老いも若きもノリまくる。

創業1957年、ビールの製造開始1959年。復帰時の経済界の本土系列化にも呑み込まれず生き延びた2。「ビールやありんくりんあいびーしが、耳タコより島ダコ(ビールはあれこれありますが、耳によくするものより地元で獲れたタコ)」そんなウチナーグチのCMを見ると、また飲みたくなってしまう。

【編集部注】

  1. コロナ禍以降は中止が続いている。2023年より再開。
  2. 2002年、アサヒビール株式会社と包括的業務提携覚書締結。