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シーミー(清明祭)

執筆者:

写真:嘉納辰彦

「咋日うち、シーミーだったんだ」

「じゃ今日はシーミー弁当でしょ」

4月の週明けの昼休みには、生徒たちのあいだでこんな会話が交わされる。

シーミー(清明祭)とは、太陰暦の清明の節に行われる先祖の墓参り。時期は年によって変わるが、たいがい4月初旬で、週末に行う家庭が多い。

ではなぜシーミーの翌日は、シーミー弁当になるのか。これには三段論法的な説明が必要だ。沖縄ではシーミーのために特別の料理を作って墓に供える。そしてお参りが終わるとその場で家族や親戚がそろってお供えの料理をいただく。沖縄だから量はいつもたっぷり目。そこで余ったものがつぎの日の弁当にまわされるというわけだ。料理の内容は昆布巻き(クーブ)、揚げ豆腐(厚揚げ)、カマボコ、ゴボウ、豚肉煮しめ、魚の天ぷらなど。沖縄の祭事料理にかかせないものばかりだ。

シーミーは中国から伝来した習慣だが、むこうのシーミーは墓参りはしても、その場でお供えを食べることはしないし、墓前も宴をするほど広くない。沖縄ではどんな小規模な墓でも、シーミー用のスペースだけはちゃんと確保されている。

シーミーの習慣は沖縄本島に多く、離島に行くと旧暦1月16日に行われる十六日祭の方が盛んだ。十六日祭はあの世の正月と言われるが、内容はシーミーと同様に先祖供養である。