トゥシビー
12年ごとに巡ってくる自分の干支の年を生まれ年といい、新年最初の干支の日(申年ならば最初の申の日)をトゥシビーと呼んでお祝いをする。
とくに女の子は、数えの13歳のときに盛大な生年祝い(十三祝い)をおこなう。はじめてこのことばを聞いたとき、「せいねん」を「青年」ととってしまい、沖縄では成人式をこう呼ぶのかと思った。
七五三の習慣がないので、13歳は成長を祝う最初の行事である。友人たちに聞くと新しい服を着て、親戚を呼んでごちそうを食べお祝い金をもらった、いいことずくめの一日のことを懐かしそうに語ってくれる。この頃になると「生年祝いの記念写真は〇〇写真館へ」というような広告がでかでかと新聞に載るのも沖縄ならではだ。
トゥシビーはその後も12年ごとに巡ってくるが、男女ともにもっとも盛大なのは97歳のカジマヤーのお祝いである。
カジマヤーとは風車のことで、老人が風車を手に派手な着物を着てオープンカーで町内をパレードする。これを最後にトゥシビーの行事はない。つぎのトゥシビーは109歳だから長寿県1沖縄でもこの世にいるのはむずかしい。
一説によればトゥシビーの語源は年忌みで、かつては祝い年より厄年と考えられており、その一年は家を建てたり旅行するのを慎んだという。本土では男性は42歳、女性は33歳が厄年と言われているが、沖縄ではそういう考えはない。だからその年が来たら沖縄にいれば安全である。
【編集部注】
- 沖縄は日本一の長寿県であったが、2000年の国勢調査で男性が26位に転落した後、2020年の都道府県別生命表では、男性が43位、女性が16位にまで順位を落としている。