琉装
方言で「うちなーすがい」と呼ばれ、以前は離島や那覇の市場などのお年寄りに見かけられたものだが、最近はもっぱら踊りや芝居のなかでの衣装となってしまったのは寂しい。
身幅がゆったりとしていて涼しげで、しかもすっきりとしており、沖縄の風土に適した合理性と美学に貫かれている。髪は舞踊「花風」に見られる「からじ」が代表的な女性の髪形で、結い上げるのが容易で、寝起きにも不自由が少ない。成人男子の髪は欹髻と呼ばれるが、これは昔中央より偏って髷を結っていた名残である。男女ともに簪を用い、その差し方や簪の種類で性別や身分の違いをあらわすものとされていた。
宮廷では、女は胴衣、細かい襞のあるスカート状の下裙をつけ、その上に表着をまとうが、帯を締めないのが特色である。古典女踊りに見られるような打ち掛けを羽織り、夏ものは「たなし」冬ものは「綿衣」である。庶民風俗でも「花風」のように、帯を使わず襟下を下紐に挟むのがいかにも涼しげで、これを「うしんちー」と呼んでいる。着物には掛け襟や端折りがなく、男女ともに広袖でたっぷりと仕立てられ、風通しがよい。男の礼服は鉢巻の変形した「<帕>」と呼ばれる冠をつけ、黒朝という芭蕉布を重ね着し、前帯を結ぶ。また、元服前の若衆と呼ばれる少年たちは振り袖をつけるが、これも袖口が振りの下まで開いており、頭は女髷に似た「丸結」である。