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模合もあい

執筆者:

写真:嘉納辰彦

昼さがり。やや気取った沖縄料理屋で中年女性のグループがなごんでいた。カルチャーセンターの帰りだろうか、などと思いながらぼんやり見ていると、突然、おばさんたちが手に手に1万円札を握りしめ、にわかに席が活気づいたのである。お勘定でもなさそうだし……。「何?」と傍らにいた沖縄の友達に聞いたところ、これがかの有名な、模合の現場だったのである。

模合は、沖縄でとてもポピュラーな金銭的相互扶助システム。メンバーが定期的に集まって一定の金額を出し合い、その集まったお金を順番にとるという仕組みだ。お金をとる人を入札で決めるなど、模合ごとにいろいろ取り決めがあるそうだ。本土でいう無尽講、頼母子講。
 戦後、金融機関の整備が遅れたことが、沖縄で模合が盛んになった原因のひとつといわれ、家の新築や子供の進学に、はたまた事業資金を模合で作ったという話も聞いたことがある。人生のかなり本格的な場面で、頼りにされていたようだ。

現在は、1回に出す金額も1万円とか2万円。親戚同士や、友達のコミュニケーションの場として気軽に楽しむ模合が多い。何カ月かに1度、数万円の臨時収入があるのは、結構ウレシイものである(本当は毎月積み立てているわけだが)。ちなみにわたしは10人で模合をしていて、この前、そのお金でクーラーを買いました。