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ダイビング

執筆者:

写真:垂見健吾

透明度が高く、サンゴが発達して魚をはじめ海中生物の種類が豊富な沖縄の海は、世界でも五本の指に入るダイビングのポイントといわれている。
 ひと口に「沖縄の海」といっても、本島から八重山の与那国よなぐにまで500キロもあるのだから、いろんな海があるし、季節によって魚も景色も違ってくる。
 私の経験では、初夏は宮古が楽しい。八重干瀬やえびしのエダサンゴの間にピンポン球くらいのコブシメの卵が産みつけられている。運が良いときは、ポンと音をたてて(実際には聞こえないのだけれど)殻を破って赤ちゃんイカが飛び出してくるのを見ることができる。夏はマンタの季節だ。石垣島だったか、マンタが突然真正面からふわりと現れて、ぶつかるはずないのだけれど、思わず頭をすくめたことがあった。12月からの冬は与那国がお勧めだ。目が左右に飛び出た奇妙なかっこうをしたハンマーヘッドシャークを群れで見ることができる日本では唯一といっていいポイントがある。1メートル級のサメの20、30匹の集団だから、その迫力ときたら。与那国には「古代のムー大陸の遺跡?」といわれている遺跡のような、岩の切り立ったポイントもある。ジャック・マイヨールさんも「これは人工の建築物に違いない」と感激したそうだ。本島から高速艇で1時間の慶良間けらま諸島の海はサンゴが発達している美しい穏やかな海で、年中ダイバーで賑わっている。見頃は、神秘的なサンゴの産卵が見られる初夏の大潮の夜ではないかしら。

ともかく、水温は一年を通して20度以上のダイビング天国、ダイバーにとって憧れの海。だからダイビングにはまってしまった人は、夏の休暇とボーナスは飛行機代とダイビングフィーに全て消えてしまうそうだ。そういう沖縄詣でを何年か続けて、民宿で沖縄家庭料理に親しみ、宿のおじさんの三線で民謡を聞くうちに、沖縄病にかかっていつしか「沖縄に住みたい」とつぶやくダイバーが多い。実際ケラマの座間味島ざまみじまは人口600人(2019年4月現在)ばかりの小さな島だが、年々5%くらいずつ人口が増えている。過疎で悩む離島が多いのになぜ?ダイビングに魅せられて移り住んだり、通ううちに島の男性に見初められて結婚したりという本土からの「移住者」が多いからだという。