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琉球石灰岩りゅうきゅうせっかいがん

執筆者:

写真:垂見健吾

サンゴ礁が隆起してできた岩である。隆起したのは数十万年前といわれており、沖縄本島中南部や宮古島に多い。もとがサンゴなので多孔質である。そのために隆起石灰岩台地は雨水が地表面にたまらないので、古くから集落が立地してきた。地面が乾きやすいため健康な暮らしができるからである。また雨水は石灰岩に濾過されて人びとに命の水を与えている。石灰岩台地と、泉、サンゴ礁の海が沖縄の命を支えてきたといえる。
 首里城をはじめ沖縄の城(グスク)のほとんどが琉球石灰岩の岩山に築かれている。また、ノロ御願(ウガン)する御嶽ウタキなども琉球石灰岩の台地に多い。サンゴ礁の海をそまつにしているこの頃の人たちは御願不足(ウガンブスク)である。

密な石灰岩はトラバーチンと呼ばれ、建材として大量に切り出された。勝連かつれん町や宮古が主な産地であった。日本の国会議事堂にも宮古トラバーチンが使われているという。自慢することではないか。
 割肌が白いので琉球石灰岩の砂利を白バラスとよび、道路の舗装材料としても大量に採掘されている。採掘跡を産業廃棄物の捨て場にして埋立て、宅地にして売るうまい商売を考え出す人もいる。地下水の汚染も心配だが、読谷よみたん村ではそのように造成された土地に建てられた学校で、異臭のするガスが吹き出し、児童たちに被害が出た。土地を買うときは注意が必要だ。