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ンタマギルー(運玉義留)

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那覇市の東側に位置する西原町と与那原町の境にある運玉森(ウンタマムイ)。沖縄の方言で森は「ムイ」と呼ばれ、地形が高くなっている場所を表す言葉。運玉森は運玉義留の隠れ場だったとして地元では知られている。
写真:嘉納辰彦

運玉森んたまむいに住んでいる義留ぎるーという名の義賊。沖縄芝居の人気演目で、テレビドラマや子供のマンガにもなっているので、老人から子供まで知らない人はいない。沖縄版の鼠小僧次郎吉、アルセーヌ・ルパンである。
 義留には油喰坊主(あんだくぇーぼーじゃー)という義留と人気を分けるひょうきんものの子分がいる。ひょんなことでふたりが出会ったとき、義留はこてだめしに油を盗んでこさせ、それで天ぷらを揚げて食べた。油喰いの名があるのはそのためだ。

本土の人間にはまったくなじみのない運玉義留というキャラクターについて教えられたのは、沖縄出身の映画監督、高嶺剛が撮った映画『ウンタマギルー』だった。ロケ取材に行った沖縄で、この名前を発音してもなかなか通じず、ギルーのルーの部分をやや上げ気味に言えばいいと分ってから、この奇妙な名前にやっと親しみを覚えるようになった。